無財の七施
仏教には、財施(ざいせ)、法施(ほうせ)、無畏施(むいせ)という3つの布施の行があるといわれています。
では、施すべき財、説くべき教え、恐れを取り除く力がなければ布施の行ができないかというと、そうではないといわれています。
地位や財産がなくても、誰もがいつでも容易にできる布施の行、それが「無財の七施」です。

1.眼施 がんせ 慈眼施ともいい、慈しみに満ちた優しいまなざしで、すべてに接する事をいいます。
温かい心は、自らの目を通して相手に伝わるのです。

2.和顔施 わげんせ 和顔悦色施ともいいます。いつもなごやかで穏やかな顔つきで人や物に接する行為です。喜びを素直に顔の表情にあらわしましょう。

3.愛語施 あいごせ 言辞施(ごんじせ)の別称もあります。文字通り優しい言葉、思いやりのある態度で言葉を交わす行いをいいます。

4.身施 しんせ 捨身施ともいいます。自分の身体で奉仕をすること。身体を示す事をさし自ら進んで他のために尽くす気持ちが大切です。

5.心施 しんせ 心慮施。他のために心をくばり、心底から共に喜び共に悲しむ事ができ、他の痛みや苦しみを自らのものとして感じ取れる心持ち。

6.牀座施 しょうざせ たとえば自分が疲れていても電車の中で喜んで席を譲る行為。

7.房舎施 ぼうしゃせ 風や雨露をしのぐところを与えること。自分が半身濡れながらも、相手に雨がかからないように傘を差し掛ける思いやりの行為など。


どれをとっても、人に対する思いやり、優しさに溢れた言葉であると思います。
私がこの言葉を知ったのは、平成18年名古屋で弘法大師生誕1200年記念善通寺展が松阪屋で開催されました際の善通寺住職の法話を拝聴した際に文章として頂戴した教えの一つです。
世知辛い現代社会なればこそ、人に対する慈しみ、思いやり、優しさの大切さについて諭しているこの言葉を是非とも大切にしたいものです。